ヘリコプター搭載護衛艦「かが」就役!
2018/07/10
平成29年3月22日、ヘリ搭載護衛艦くらまの退役に伴い、海上自衛隊の艦隊に新たな艦艇が加わります。いずも型ヘリコプター搭載護衛艦2番艦 DDHー184「かが」、その名の通り、甲板からヘリコプターを発進させることが出来る、海自で4隻目の全通甲板空母型の艦艇です。(下記写真には同型艦「いずも」のものも含まれます)
「かが」は平成27年8月27日にジャパンマリンユナイテッド横浜事業所磯子工場で進水しています。現在は艤装(艦艇に装備を載せる)作業を終えていて本日めでたく就役となりました。定係港は広島県呉市を予定しています。
全長248m、これは現在の海上自衛隊の艦艇の中で最大のものです。実は同じ「かが」の名を持つ艦艇は日本で2隻目となります。先代は大日本帝国海軍の航空母艦であり、佐世保を母港としていた「加賀」。真珠湾攻撃で活躍した空母ですが、この「加賀」もほぼ同じ全長248mであったそうです。
先代の加賀には当時最強を誇った艦載戦闘機「零式艦上戦闘機」通称「零戦」や、「九七式艦上攻撃機」、「九九式艦上爆撃機」などを搭載していましたが、現代の「かが」には哨戒ヘリコプターSH-60J及びkシーホークや、掃海輸送ヘリコプターMCH-101等を最大14機搭載、運用が可能となっています。
いずも型、ひゅうが型のいわゆる空母型護衛艦は、海の忍者の異名を持つ元祖ステルス艦、現代最強の戦闘艦とも言える”潜水艦”を発見し駆逐する”対潜作戦”が主な任務とされています。
とはいえ、「かが」の船体自体に潜水艦を倒す為の武器が装備されているワケではありません。そこで活躍するのが前述した哨戒ヘリコプターSH-60Kです。
潜水艦の存在は水上艦艇にとって目に見えない地雷のような物で、付近の海域に敵潜水艦の存在の可能性があるというだけで心理的抑止力を発揮し、味方艦隊は身動きが取れなくなる,もしくは著しく艦隊行動が制限されてしまいます。
そこでより安全に潜水艦を発見する為に上空からの哨戒(偵察)ができる機体が必要となります。
海自には固定翼機(ジェット機)の哨戒機、P-3CやP-1を保有していますが、ジェット機だと常に高速で移動しなければなりません。その点、ヘリコプターであるSHはホバリングが可能で、上空で停止している機体からディッピングソナーという水中マイクを水の中へ降ろして潜水艦を探す事ができます。
海面下に隠れている潜水艦にとって、上空に滞空しながらじっと耳を澄まして探している哨戒ヘリコプターの脅威度はもっとも高く、直上にヘリがいる間は生きている心地がしないとまで言う潜水艦乗りも居るそうです。
哨戒ヘリが敵潜水艦を発見すると、ただちに味方艦に通報、送信したデータをもとに艦艇からのアスロックや短魚雷などの対潜攻撃をバックアップします。もちろんSH単機でも短魚雷や対潜爆弾などを発射し直接攻撃も可能です。
それら哨戒ヘリを同時に複数飛ばし、「かが」の周りに防潜警戒網という言わば結界を張り、艦隊の進撃を文字通り水面下から支えます。
我が国日本は言うまでも無く災害の多い国です。東日本大震災から6年の月日が流れましたが、いつまた同じような試練が我が国を襲うか分からない中、大規模災害発生の際にもこの艦艇は活躍を期待されています。
広い格納庫に大量の救援物資を詰め込み、島嶼や交通ルートが寸断された場所にも搭載しているヘリで空から救援物資を輸送出来ます。他にも帰宅が困難な被災者の為の宿泊施設、ケガ人の治療が出来る手術室なども完備してあります。
「かが」の就役に伴って海上自衛隊の空母タイプの艦艇が4隻になると書きましたが、実は、海軍艦艇は1隻だけでは実力を発揮できません。最低でも同型艦が3隻居なければ通常の運用はできないと言われています。
一隻が実任務に就いている間、一隻は訓練で練度を維持し、一隻は修理の為ドッグに入る。これをローテーションして初めて切れ目のない艦隊運用が可能になります。これまで運用可能ギリギリの3隻でしたが、一隻増える事によってこれまで以上に作戦の自由度が増す事となりそうです。
「かが」が就役することによって日本の国防における重要な港である、横須賀、呉、佐世保、舞鶴に一隻づつヘリ搭載護衛艦が配備する事が可能になりました。
現在呉所属であるひゅうが型2番艦「いせ」が今後配置換えで佐世保に配備される予定となっているそうです。現在佐世保ではイージス艦が複数配備されていますが、これまでイージス艦の対空警戒レーダーで空からの脅威には充分対処できていましたが、今後それに加え「いせ」の配備によりの哨戒へリによる対潜警戒で水中からの脅威にも対抗できるようになり、南西方面の海域防衛力の拡充が期待できます。
ヘリコプター搭載護衛艦「かが」の今後のご安航と武運長久を祈ります。
今日もにゅ~ぺとりをご覧頂きありがとうございました。