強襲揚陸艦ワスプが佐世保に着任しました。

   

去る1月14日米海軍佐世保基地に強襲揚陸艦「ワスプ」が入港しました。これまで佐世保に配備されていた同じく強襲揚陸艦の「ボノム・リシャール」と交代し今後米海軍佐世保基地の顔となると目される艦艇です。

全長約257m、排水量(重さ)は約4万tの巨大な姿は日本の海上自衛隊最大の艦艇「いずも」型より大きな艦です。約1100人の乗組員の他、約1600人の海兵隊員を乗せることができます。

さて”強襲揚陸艦”とはあまり聞きなれない日本語です、「揚陸艦」これは読んで字の如く陸上部隊=米海兵隊を海岸や島嶼部に上陸させる艦艇なのですが、これに「強襲」と付いています。敵が待ち構えている海岸に対し海兵隊を強襲的に上陸させる、その発起点となる艦艇です。

一言で言えば「洋上を進む軍事基地」と言えるのではないでしょうか。

 

外観は長方形で平らな全通飛行甲板を持つ箱のような形の船で、まるで第二次世界大戦の頃の空母のような形をしています。この甲板からは固定翼機(いわゆるジェット機)回転翼機(ヘリコプター)ティルトローター機であるオスプレイなどが飛び立つ事ができます。

 

しかし現代の固定翼機は昔に比べ非常に大型で滑走だけで飛ぶのは難しい、なのでこれまで強襲揚陸艦には垂直離着陸機であるAV-8ハリアーⅡが搭載されていました。

このワスプでは初めてアメリカの最新鋭ステルス戦闘機であるF-35Bが艦載機として運用され、その強力なエンジン噴射に耐えられるように、甲板上にセラミックとアルミを結合した特殊塗料”サーミオン”耐熱コーティングが施されています。

強襲揚陸艦上をホバリングするF-35B

 

空母の形をしていますが、航空機のみを運用する艦艇ではありません、艦後部には巨大なゲートがあり、内部には広いドック式の小艦艇格納庫”ウェルドック”を備え、そこから上陸用舟艇としてのLCAC、いわゆるホバークラフト艇や水陸両用装甲車など、多彩な装備を発進させる事が可能です。

映画「父親達の星条旗」等の上陸作戦シーンで見るように、以前はフネの横に網を降ろしそれを伝って上陸要員が小艦艇に乗り込んでいたのですがこれは非常に時間がかかり、危険なものでした。しかし現代のワスプでは艦内部で安全に兵員が乗り降り出来るので海兵隊や艦が無防備になる時間を極力抑える事ができ、兵の負担も減っています。

実は艦内には陸の病院に勝るとも劣らない医療施設を備えています。集中治療室を含めた病床が60床、手術室は4部屋もあり居住区を病室へ転用すればさらに200床が確保できると言われています。

殴りこみ部隊とも呼ばれる海兵隊が、敵の待つ海岸に強行上陸すれば隊員に多くの死傷者が出る事になるのは容易に予想できます。負傷者を後送し一刻も早く治療する為このような大規模病院のような施設が用意されています。

同型艦「ボノムリシャール」の戦時治療室

 

核、ミサイルの開発を続ける北朝鮮や、南シナ海で人工島を建設して影響力を拡大し続けるチャイナに対して、それらの国に最も近い佐世保に配備されると言う事自体が当該国に対するメッセージとなり、強力な抑止力を発揮することが期待されています。

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