佐世保の昔話 一里島

   

私が住んでいる佐世保はおよそ110年ほど前に市に移行し、急激に人が集まった比較的新しい町ですが、それ以前に人が住んでいなかったワケではありません。その土地ならではの昔話もいくつも残されています。

佐世保湾の北岸近く、干尽岸壁あたりから湾内を見れば灯台のある一つの島があります。名前は一里島、今回はこの島にまつわる話を紹介します。

佐世保湾の外側には多くの小島がたくさんあります。

大将格の松浦島や副将の桂島、美人の金重島、金重島に気に入られたい若戸島など、形も大きさも色々で、島々は昼は同じ場所に黙ってじっとしていなければならないのだが、夜の間は話をしたり散歩をしたりして気楽に過ごしていた。

ある秋のきれいな夜の事、人間達が酒を飲み毎晩浮かれ楽しむ様子を羨ましがっていた島達は連れ立って浜へ出かけることにした。松浦島が「今夜は町に行って、酒でも飲まんや」と言いました。そばにいた桂島が「よか考えばい、今夜はたっぷり飲もうで」と応じ、金重島も「うちも連れてってくれん」と言いました。

そして人間が寝静まった頃に浜に着いた島達は、呑み屋の親父を起こして金重島が採ったたっぷりのワカメと引き換えにありったけの酒樽を手に入れるとさっそく飲めや歌えの大宴会。時間のたつのも忘れていたるところで飲み比べも始まりました。

金重島にいいところを見せたい若戸島は近くの船に酒を次々と注ぎ込み枡代わりにして一気に飲み干したものだからとうとうひっくりかえってしまう始末。

そうこうしているうちに東の空が白み出した。大将の松浦島は夜明けが近い事に気づきました。「お~い、夜の明くっばい、はよ帰らんば」島々は夜が明けるまでにもとの場所に戻らねば二度と動けなくなってしまう。しかし仲間が呼んでも揺すっても起きない若戸島を「かわいそかばってん、もう時間のなか、しょんなかばい」と仕方なく置き去りにして、島達は狭い入り口に大急ぎで向かいます。

気がついた若戸島も大慌てて後を追うが時すでに遅く、陽は昇り、浜から一里ほどのところでひとり動けなくなってしまった。そうして湾の入口にポツンと残された小さい島はそのうち一里島と呼ばれるようになり、湾の外の百の島は一つ減って九十九島になったそうです。

佐世保にはこんな愉快な昔話がいくつも残っています。これからも昔話を紹介しますので楽しみにしててください。

それでは今回も読んでくださりありがとうございました。

 

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